年々、過酷さを増す夏の暑さ。屋外はもちろん、室内でも熱中症の発生リスクが高まっているなか、熱のこもりやすいテント倉庫は、過酷な労働環境になりやすいのが特徴です。
倉庫内の室温が高いと熱中症による労働災害が発生しやすいだけでなく、従業員の労働意欲や作業効率の低下にもつながるため、迅速な対策が求められます。
とはいえ、一般的な倉庫とは構造が異なるテント倉庫において、どのような熱中症対策を実施すべきか悩んでいる事業者・担当者も多いのではないでしょうか?
本記事では、テント倉庫における暑さ・熱中症対策の重要性と具体的な解決案をご紹介します。自社のテント倉庫に最適な空調設備をお探しの方は、ぜひ参考にしてください。
目次
夏場のテント倉庫では暑さ・熱中症対策が必須
過酷な労働環境になりやすい夏場のテント倉庫では、暑さ・熱中症対策が必須です。
実際に、テント倉庫を活用する代表的な業種である「製造業」や「運送業」では毎年、多くの熱中症被害が発生しています。
厚生労働省が発表した「令和4年職場における熱中症による死傷災害の発生状況(確定値)」によると、製造業における熱中症の死傷者数は「836人」と全産業のうち2番目、運送業では「605人」と3番目に多いことが分かります。
画像引用元:厚生労働省|令和4年 職場における熱中症による死傷災害の発生状況(確定値)
上記のデータは業種での括りになるため、一般的なスレート・板金屋根の工場・倉庫など、テント倉庫以外の環境も含まれます。しかし、夏場のテント倉庫は構造上、一般的な工場・倉庫より過酷な労働環境になる場合も多いため、より厳重な対策が必要です。
熱中症は、従業員の命に関わる深刻な問題です。自社の労働災害を減らすのはもちろん、通年、安定した生産性を維持するため、真夏でも快適に作業できる労働環境を整える必要があるでしょう。
テント倉庫の室温が40℃を超えるケースも
夏場のテント倉庫は下記のような原因によって、過酷な労働環境になりやすくなります。
- 天井や壁の遮熱性が低い
- 換気性能が低く、密閉空間になりやすい
- 建物の構造上、空調設備を設置しづらい
一般的なテント倉庫は、骨組みにシートを被せた簡易的な構造になっているため、熱を吸収しやすく、風を通さない生地を使用するケースが多いため熱がこもりやすい環境です。
また、窓や換気扇などがないテント倉庫の場合、換気性能が悪く、密閉空間になりやすいのも特徴です。
そのうえ、テント倉庫には、業務用エアコンなどの空調設備を設置できないケースも多々あります。骨組みの強度や構造次第で、一般的な倉庫で使用できる空調・送風機器を導入できない点は、労働環境が悪化しやすい原因といえるでしょう。
倉庫内の理想的な室温は『26〜30℃』
厚生労働省が発表する「WBGT基準値(暑さ指数)」では、倉庫内における熱中症リスクが低い理想的な室温は「26〜30℃」と定義されています。
画像引用元:厚生労働省|資料5-3(厚生労働省労働基準局安全衛生部労働衛生課提出資料)
WBGT基準値とは「Wet-Bulb Globe Temperature値」の略称であり、暑熱環境による熱ストレスの評価を行う暑さ指数です。
上記のように、WBGT基準値は温度で表しますが、身体作業強度(代謝率レベル)や衣服の組み合わせ、相対湿度などを加味したうえで熱中症リスクを判定します。
なお、真夏のテント倉庫は室温40℃を超えることも珍しくありません。
したがって、夏場のテント倉庫における熱中症リスクを低減するには、多角的な対策によって、体感温度とWBGT基準値の間に生じる「約10℃の差」を埋める必要があります。
テント倉庫で実施できる3つの暑さ・熱中症対策
テント倉庫で実施できる代表的な暑さ・熱中症対策は、以下の3点です。
- 空調・換気設備を導入する
- 建物の遮熱性・換気性能を上げる
- 従業員個人にも熱中症対策を推奨する
それぞれの対策の詳細や有効性をご紹介します。
空調・換気設備を導入する
テント倉庫における暑さ・熱中症対策として、空調・換気設備の導入が挙げられます。
空調設備によって直接的に室内の体感温度を下げたり、換気設備によって溜まっている熱を拡散・排出したりすることで、過ごしやすい空間を実現できます。
ただし、スレートや板金で構成されている一般的な倉庫と比較して、骨組みとシートで構成された簡易的な造りのテント倉庫は、導入できる設備が限定的です。
具体的には、下記のような室内全体をカバーできる設備を導入しづらい傾向があります。
- 業務エアコン
- 大規模な空調システム
- 重量の重い大型シーリングファン(HVLSファン)や換気扇 など
建物の壁や天井への取付工事が必要な設備の場合、「テント倉庫の骨組みに取り付けられる重量・構造か」という点を考慮しなければなりません。
設備の導入を検討する際には、性能だけでなく軽さも重視しましょう。
建物の遮熱性・換気性能を上げる
テント倉庫自体の遮熱性・換気性能を上げる方法も暑さ・熱中症対策の一つです。具体的な方法としては、以下のようなものが挙げられます。
- 断熱生地の採用
- 生地の二重貼り
- 窓の設置
- スプリンクラーの設置 など
壁や天井の素材となるシートを遮熱性能が高いものに貼り替えたり、テント倉庫の内側に、もう一枚生地を重ねて貼ったりすることで、熱伝導を減らし、外気温の影響を受けづらい環境を実現できます。
また、テント倉庫の側面にアルミサッシの窓を取り付けるのも効果的な対策です。また、広範囲に水を散布する屋根用スプリンクラーを設置し、気化熱によって室温を下げる方法もあります。
ただし、上記の方法をとるには、建物自体を対象とする大掛かりな工事が必要です。導入コストや導入期間がかかりやすい点はデメリットです。
従業員個人にも熱中症対策を推奨する
テント倉庫内の熱中症被害を減らすには、従業員個人に向けての対策も必要です。具体的な対策としては、以下のような方法が挙げられます。
- こまめな水分補給を促す
- 休憩時間の増やす
- 空調服の支給・着用を推奨する
たとえ、効果の高い設備を導入していても、熱中症に対する従業員一人ひとりの意識が低ければ、効果的な対策の実現は困難です。労働災害のない安全な職場を実現するためにも、社内の意識改革に向けた取り組みも進めましょう。
テント倉庫内の暑さ対策に!おすすめ空調・換気設備3選
テント倉庫内に導入できるおすすめの空調・換気設備として、以下の3点をご紹介します。
- 大型シーリングファン(HVLSファン)
- ベンチレーター
- スポットクーラー
それぞれの設備の機能や特徴を解説します。
大型シーリングファン(HVLSファン)
大型シーリングファン(HVLSファン)は、テント倉庫の暑さ対策として非常に高い効果を発揮する空調・送風設備です。
大型シーリングファンとは、業務用の大型天井扇のことで「High Volume・Low Speed」から頭文字を取って「HVLSファン」とも呼ばれています。大型の羽根をゆっくり回転することで、工場や倉庫などの広い空間全体をカバーできる大風量を発生させるのが特徴です。
空間面積に対して必要な台数の大型シーリングファン(HVLSファン)を導入することで、室内のどこにいても心地よい風を感じられる快適な作業環境を実現できます。
また、他の空調設備と比較して導入コスト・ランニングコストを抑えられるのも魅力的なポイントです。
ただし、大型シーリングファン(HVLSファン)を導入するには天井への取付工事が必要になるため、テント倉庫の構造上、設置できない可能性もあります。
テント倉庫へ大型シーリングファン(HVLSファン)を導入する場合は、骨組みの強度・対荷重を確認したうえで、軽量の製品を選定しましょう。
関連記事:工場の熱中症対策に。HVLS大型シーリングファン導入の効果
なお、テント倉庫にも導入できる大型シーリングファン(HVLSファン)をお探しであれば「高性能・低コスト・軽量ボディ」を誇る「SD-FAN」の導入がおすすめです。
ベンチレーター
ベンチレーターとは、主に工場や倉庫に設置する換気装置です。施設内の空気を効率的に換気することで、熱気を外に逃す役割を担っています。
ベンチレーターは以下の3つの製品タイプに分かれるのが特徴です。
- 自然通風や室内外の温度差によって換気を行う「自然換気タイプ」
- モーターとファンによって強制的に換気を行う「強制換気タイプ」
- テント倉庫の妻面に設置する「換気扇タイプ」
ただし、ベンチレーターは空調・送風設備ではなく、換気を目的とした設備なので、室内の体感温度を大幅に下げる効果は期待できません。
スポットクーラー
局所的な暑さ対策を実施したい場合には、スポットクーラーが効果を発揮します。
基本的な仕組みは、取り付けタイプのクーラー・エアコンとほぼ同じですが、空間全体ではなく、1箇所に向けて冷却された風を送るのが特徴です。
スポットクーラーは、エアコンなどの大掛かりな空調設備の導入が難しいテント倉庫において、従業員の体感温度を下げる目的で使用できます。
なお、同じ用途で使用できる送風設備としては、業務用扇風機が該当します。ただし、冷却した風を発生できる分、暑さ・熱中症対策としての効果は高いといえます。
関連記事:業務用扇風機のメリット・デメリット3選!最適な空調設備をご提案
テント倉庫に設置可能な軽量・高品質な大型シーリングファン(HVLSファン)ならSD-FAN
テント倉庫の暑さ・熱中症対策の解決策としておすすめしたいのが、創業30年の日本装置メーカー「プレシード」が提供する「SD-FAN」です。
SD-FANは最大14900㎥/minものの風量を実現しているのが特徴です。室内に気流を発生させ、空間の温度差を均一にすることで体感温度を『最大−6°C』まで下げられます。
また、気流を発生させることで、倉庫内の湿度を最大15%程度カットできるのも魅力です。
一般的に、熱中症は湿度が70%を超えると発生しやすくなりますが、原因となる「湿度」と「体感温度」の2方向にアプローチできるSD-FANは、熱中症対策として非常に高い効果を発揮する設備です。
上記のような高い性能を誇りながら、本体重量は約69kgと、他社の大型シーリングファン(HVLSファン)と比較して約60%の軽量化に成功。テント倉庫に設置できるのはもちろん、取付工事にかかる人件費を削減、導入コストの削減にもつながります。
暑さ・熱中症対策として高い効果を見込めるだけでなく、テント倉庫にも導入しやすい軽量設計を実現した「SD-FAN」の導入をご検討ください。
テント倉庫にも導入できる軽量・高品質のHVLSファンをお求めなら「SD-FAN」