社長の部屋CEO's ROOM

03.随想編

2021.10.25

 ドイツの哲学者ショウペンハウエルは言った。「すべての人間は相手の中に鏡を持っている。」と。私も自分が見えていないと思うことはよくある。そしてそれに気付くのが事が起きてしまってからの事が多いのが人間だ。

 

 自分の事は棚に置きながらも「この人は自分が見えているのだろうか?」と思うことは多い。要は他の人との常識が違うのかもしれないし、本当に気付いていないのかもしれない。

 子供の頃は親や先生が注意して呉れた。しかし、成人も近くなると注意してくれる人は殆どいないのが人間社会だ。もし注意して呉れる人を持っているならそれは財産と思っていい。煩わしいと思うことも多いだろうが、その人は朝身だしなみをチェックする鏡と同じだ。鏡を見ないで外出すると、口に食べかすが付いているのに気づかないことさえある。髪が跳ねてボサボサ、ネクタイが曲がっているなど鏡は教えてくれる。

 

 毎日見ていると汚れや乱れさえ見えなくなることもあるが

 

余談

 曹洞宗禅の開祖の達磨大師には壁に向かって3年座り続けついには歩けなくなったという故事がある。

 古来からそれほど人生には重要視すべきテーマだと思うのだが、じっくりと自分と向き合う機会など、現在の社会では本気で求めない限りその機会は中々訪れない。

 私も数年間、早朝坐禅に通って壁と向き合った。今となっては貴重な経験だったが、何も見えずに終わってしまったのかもしれない。

 現代人は空き時間あれば常にスマホと向き合い、新しいアプリと取組んだりして自分と向き合うのを恐れる。あるとすれば写真の修正アプリでだけかもしれない()

 昔の若者は酒飲んで口角泡を飛ばしながら、人生や仕事や恋愛を語ったものだ、というのが伝説のようになってしまいそうなコロナ引きこもり生活である。知らない人に語っても伝えるのは難しいが、何処かに気づいていないものがあると日々思い続けるとある日突然何かが飛び込んでくるものだ。小さな気付きの繰り返しが人の成長だ。スマホに向かうと気づきの時間を失っているような気もするデジタル社会だ。

 アンパンマンの主題歌に~何のために生れて、何の為に生きるのか分からないなんて、そんなのはイヤだ~♬というのがある。私は熊本地震の時に本気でこの歌を聴いて、涙ぐんでしまった。それなのにまだ流されていまを生きている。

 

2021.5.23記す

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