2004年 上海ビジネス支援についての私案ー経営編
*上海に本格的に進出するにあたって熊本県へ私的に出した提言です。
2004年の正月休みに書いたのを記憶している。2012年になって内容は違うが上海進出支援拠点が設置された。
初めに
現在の日本経済、特に製造業は企業規模の大小にかかわらず中国の影響抜きには語れない時代となりました。中国脅威論の一方で巨大市場としての中国、コストダウンのパートナーとしての中国など、その影響は捉え方によっては吉凶分かれるところでもあります。正に大きな変化が加速している中、事業者の選択によっては飛躍のチャンスにもなるのが現在の状況と言えるでしょう。
そういった中この一年、中国、台湾に何度か足を運び拡大するアジアビジネスを考えてきました。昨年11月には、くまもとテクノ産業財団の支援を得て上海新国際展示場で開催された「CeMAT ASIA2003」に生産技術開発協同組合(以後、略称;生技開)として会員企業6社としても初めて海外展示会への出展を経験することが出来ました。この一連の体験から、今後の熊本の製造業がこの大きな変化のうねりの中でどうビジネスを捉え行動すべきか思うままに書き留めてみます。稚拙な内容であるかと思いますが、何かの参考になれば幸いです。
なぜ上海地域が重要か
昨年、ビジネスの打合せで何度か台湾へも足を運びました。日本が低調だったにもかかわらず液晶やPDPなどへの投資は常に積極的なものがあり、台湾企業は日本に比べると成長カーブに乗っていました。しかし、そのビジネスの多くは中国への出荷と中国での設備投資でした。
その中国でも特に上海を中心とする揚子江流域は、中国のほかの発展地域と比べて最終製品やハイテク部品の生産を行なう企業が外資系も含め集積度が著しいものがあります。上海、蘇州、無錫、常州と広大な工業団地が、次々と開発され工場が生産を立ち上げています。しかし、高度な製品を生産して行く為には未だそれを支える日本の中小企業のような高度な製造技術を持った企業もまだまだ不足しているようです。数年前まで中国では電気、水道、道路、通信等などインフラがまだ整っていないというのが大きな問題でしたが、現在はその次の問題であるハイテク企業を支える中小企業不足も進出や指導により徐々に改善が進んでいます。次のレベルの問題としては私ども生技開の会員企業が業務とする生産設備の受注ができる地元企業がまだ皆無に近く、いま、日系や韓国系、台湾系の進出が始まった段階と言えるでしょう。今回の展示会では別紙レポートのように大きな手ごたえを得ました。上海を中心とする珠江デルタの発展が加速する中、それを支える生産技術はまだ現地には大きな不足があるのを実感しました。
成長する中国を無視して中小企業が今までのように日本国内の地域ビジネスに執着することは“ユデガエル”的な衰退を迎える事はほぼ明らかですが、積極的に中国ビジネスを展開すれば安い部品調達や中国の巨大市場への進出など成長の大きな可能性を提供してくれるのを実感しました。しかし、熊本の一中小企業にとって中国への単独進出は余りにも未知の部分のリスクや作業実務も多く、それを乗り越えるには余りにも大きなエネルギーが必要です。今後、今回の展示会などの大きな手ごたえを只の感触だけに終わらせず、ビジネスとしての実りに繋げていく為には、一企業の冒険的進出でなく企業グループとしての段階的な進出とそれを支える行政支援がもっとも現実的でないかと考えます。そこで安全で成功確率の高い中国ビジネスとする為、以下のような支援策を考えて見ました。ご検討願えれば幸いです。
上海地域ビジネス支援案
1. 中国の上海地域に県の熊本県内中小企業の中国進出支援拠点を開設する。
2. 情報のみで且つ運営経費が高い上海市内ではなく、今後のハイテク製品生産の中心となる無錫や常州など上海より内陸部への生産拠点に開設する。
3. 事務所開設ではなく、事務所の付いた工場建屋(2000?家賃50万円前後)を確保する。事務所内に電話、FAX、インターネット、多数の事務机は完備する。
4. 事務所には現地の日本語と車の運転ができる中国人(月給3万円程度)を採用し車(レンタル)を一台配備する。
5. 工場スペースを熊本県企業の本格的進出前の活用に必要なスペースを国内支払いで期間分譲賃貸する。
6. 利用する県内企業または企業グループ(以下県内企業)は一時的な倉庫や工場として広いスペースを活用する。
7. 工場スペースの共同利用によって熊本との共同物流、現地での共同購買など物流の円滑化、迅速化、経費削減を図れる。
8. 県は出先機関として県内企業の現地業務活動の法的、慣習的な問題発生を防いだり現地法人設立などについてのアドバイス機能を果たす。
9. 事務所スペースも企業に賃貸し営業拠点としての運用を支援する。使用する県内企業は連絡先住所として名刺など印刷物に事務所住所を活用し、企業駐在員がいない企業は事務代行を有料委託する。
10.利用する県内企業はこの拠点を共同で活用することにより運営経費の極小化、ビジネスの相互利用による拡大、情報交換での現地活動の活性化を得る。
11.利用する県内企業はビジネスの安定化を見届けるまでにこのスペースをインキュベーションセンターとして利用する。
12.現地地採用の中国人は時間給で企業の営業活動への同行など企業活動に提供する。
13.3年から5年の期間の臨時拠点とし、その後は企業グループの運営か解消かまたは事務職員のみの駐在かを選択し、運営責任は終了させる。その後は必要があれば同様の手法を他地域に移して開設する。
以上、思いつくままに書き述べてみました。行政が支援策を実施するには様々な問題があることは想像されますが、製造業がこの大きな環境変化の中で立ちすくまず好機と捉え積極的に展開を始める為の何らかの支援を検討願えれば幸いです。
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