社長の部屋CEO's ROOM

03.随想編

セミコンジャパン2017見学レポート

2017.12.17

 今週金曜日にビックサイトに出向き、セミコンジャパンを見学した。東京事業所での所用もあって、出来れば4時間程度で見学を終えたいが、走り回るくらい疲れるだろうと覚悟して出向いた。
 入場してみると出展小間数が最盛期の1/5にも満たない規模となっていた。かつては通路一面に敷かれた赤絨毯などかけらもなく、ここ例年と同じコンクリート地肌ばかりの展示場だった。

 昨年は所用で見学できなかったが、ほぼ毎年セミコンジャパンを見学してきた。
 20年以上昔には幕張会場に社員と4名で見学上京し、10時過ぎから5時まで手分けして昼食もなく休憩もしないで動き回り、情報とカタログを収集したこともあった。また或る年にはマイクロバスを借りて社内で大型免許を持つ二人に運転を頼んで、熊本から十数名の見学ツアーを実施したこともあった。昼間は見学し温泉センターで休憩後、深夜に熊本を目指すという強行軍だった。今思えば日本の中小企業は元気があったし、働く人も強かった(笑)。
 色々な思い出があるセミコンジャパンは、成長する半導体日本の一大イベントだった。今年は久々に半導体装置業界が活況なこともあって少々の復活を期待して見に行ってみたが、一度失ってしまった世界での地位と市場はもう戻らないのを改めて実感した。恐らく装置は造っても買ってくれる会社は海外だという事なのだろう。

 そういう中で気づいたことがIoTの言葉が目についたこと。セミコンと別のジャンルとして扱いされ始めた。展示会場にはテスラモータースが人者を展示し、EVと無人運転をアピールしていたのも印象的だった。
また少しの希望的な挑戦としてミニマルファブが大掛かりな展示アピールをしていたのも印象に残った。随分産業技術研究所を中心に進められてきた半導体のミニミニ工場ともいうべき提案PJだが目の前に整列するのを見ると、可能性に懐疑的だった私も期待感が強くなった。色々な問題もあるだろうが半導体を手軽に早く開発品や試作品を造るという事の実現は巨大なファブの投資が続く中国とは違った路線提案ともなる。健闘を祈りたい思いだ。
日本の半導体がこれ以上落ちて行かないことを祈るのみだが、私が動き回る世界のあちこちでそれも空しい願いだというのを感じる。どこかに活路を見出して日本の強みを残してもらいたいものだ。

 この数年はセミコン上海を毎年見学しているが、こちらは年々規模が大きくなっていく。やがてFPDと同様に中国が半導体の市場を牛耳る日が来るのだろうか…。産業の米と言われる半導体を覇権主義の他国に頼るのは恐ろしさを感じる。AI、IoT、無人運転、フィンテック等々、今の技術の先端は半導体とそのプログラムが支配している。その半導体とソフト開発技術が中国に集積しつつある。せめてその技術集積地深圳と実用普及先進地上海は、ウォッチし続けたい。

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