さて、化学系を卒業して機械系企業への就職でもあり、専門知識は大幅に欠落していた。機械工具も工作機械も知らなかった。(旋盤は知っていたがフライス盤とはどんなものか3,4年知らなかった。)同じ職場にいた機械系高校卒業した年下先輩社員を先ず師匠とすることとした。
工業高校の教科書を貸してもらい勉強することから機械業界への挑戦が始まった。不安もあったが、内心では物理は自信過剰ともいえる絶対的な自信があった。世の中は物理と化学で全て解き明かすことが出来るから、自分に分からない筈はないという過信ともいえる信念が無知の自分を支えた。年下の師匠には敬語で話し、礼を尽くすことから始まった。(ちなみに3年後には私の部下となり、その時点で敬語はなくなった。)
工場の現場で何の知識もない遅れた新人だ。先ず誰よりも体を動かして休まず働いて追いつこうと思って働いた。当初は「何も知らない大卒だ」と現場のオッサンたちから馬鹿にされた。(後にこのオッサンたちも私の部下になった。でも年長者への礼を尽くし敬語で敬い復讐はしなかった(笑))
夏の工場現場は凄まじかったが、屋外の道路工事を見る度にこの仕事より恵まれている仕事と思って特に不満はなかった。作業服は一日で肩付近に汗が乾いて白い塩が吹き出ていた。その頃の私にはそれは夏の風物詩で当たり前の事だったが、今思えば汗のかき過ぎ、水分の取りすぎもあった。兎に角、休憩時間に水を飲むのが楽しみだった。仕事中に水飲み用ウォータークーラーの横を通ることがあると思わず駆け寄って飲み始めると旨さで口が止まらない、今も忘れられない至福の時だった(笑)。本当に旨かった。ただの冷たい水だが、ずぶ濡れに汗かいている私には最高に旨いものだったのは終生忘れない。
汗を一杯かいて帰る間際、汗が引くすがすがしさとけだるさの中で、大学時代に少しかぶれた郷土が生んだプロレタリアート作家徳永直の文学をよく思いだした。いま改めて本を紐解くと「私たちはもっと労働について語らねばならない。労働の持つ内容は、現在語られている多くの恋愛小説よりも、インテリゲンチャのある種の悩みよりも、ないしは消費生活の絢爛さよりも、はるかに豊富で、人類を役する物である」と。
今思えば若くて青い労働者人生の始まりだった(笑)。いつまで続くのか見えない苦しさは本当に本当に肉体も精神もきつかった。今思えば大切ないい思い出だ。(笑)
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