社長の部屋CEO's ROOM

03.随想編

「新人の頃」その1

2015.07.06

 前にも書いたと思うが、私は大学を入学前に浪人し4年で出るところを7年も懸かってしまった。さすがにその頃は人より出遅れてグウタラな人間に堕ちていきそうな不安があった。就職したら兎に角今までの生き方を捨てて、暫くはがむしゃらに働いてみようと思ったのがサラリーマンのスタートだった。

 私は1985年5月入社、すなわち中途採用だ。大学出ることを先ずめざしていたから、卒業後は出てから考えるということで、先ず勉強して教師または公務員試験目指し、通ったら5年くらい一生懸命やりながらライフワーク探そうなどと甘い考えでいた。(その頃の競争率は20倍以上、とても通っただろうとは言い切れないが。)ゴールデンウイーク前の新聞求人欄に平田機工が海外市場開拓課社員募集」の広告出しているのを見て応募した。

 

 もし、その時、新聞を見なかったら、或は求人が技術や製造要員だったら恐らく応募していなかったし、今の設備機械業界にいることはなかっただろう。当時は無名の会社だったし、工場で機械作る気も全くなかったから。人生とはたった新聞の小さな求人広告によってでさえ変わってしまう。今はこのような体験する人も少なくないかもしれないが。

採用試験は2回の面接のみで中途採用となった。社長面談でいろいろあったがここは省く。決して採用のお願いはしていない。

 給与は入社後に総務が遣ってきて「社長が言った給与は新卒の給与より高い。新卒給与にしてくれ」と言ってきた。配属も場末の部署“粉体機器部”で、全く新人教育もなく就業規則の説明もなく私の社会人生活が始まった。全く社会人教育など受けたことも無いのでそんなものと思ったが、これは後まで私に大きな弱みとなった。

 颯爽としたホワイトカラー国際派ビジネスマンをイメージして門戸をたたいたのが、現場工場配属という。兎に角一度叩いた門だし、どうせ遅れた人生だし、3年間はとにかく走ってみようとすべて受け入れた。こうして私の悲惨な職業人生活が始まった。(笑)

 

 専門外の会社に新人教育も受けずに配属され、中途なのに給与は新入社員給与、一年近くの新人教育班が運営されている中で、ただ一人私だけが現場から始まった。今のフリーターの人達の就職と同じで一度も社会人教育を受けていないというのは、会社組織とは何か、という根本さえ知らないということ。挨拶の仕方、名刺交換の仕方、服装の考え方、社内報告や起案、経費の使い方、出張の注意事項、賞罰運用など一切教えられない不安は実体験している。だからこそ自社では新人教育など大切にしたいと思う。

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