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2002年 これからの県内(国内)企業の動向

平成14年度若年者定住促進セミナー

これからの県内(国内)企業の動向

 H.14.10.10

八代工業高校

 

松本 修一

㈱プレシード取締役社長 

 

こんにちは。今、紹介いただきました松本です。


 皆さんに役に立つ話が本当にできるかなと思って、ずいぶん考えては来たんですが、そうですね、ここにまた改めてどうしようかなとか迷っております。私にも高校2年生の子どもがおりまして、日頃、家ではいろんなことを喋っているんですが、皆さん相手に話していることと同じことを喋ったらいいのか、違うことを話したらいいのかということが分かりません。


 先程、今後の就職とか、そういうようなことのためにお話しをということで、そういうことに役立てればすごく有り難いのですが、1つは就職の面接の時に私もよく言うのですが、この会社の将来が素晴らしいからといって募集してきましたという人に私は、「冗談じゃない。あなたは、何かうちの会社に飯食わせてもらうために来たの?」とかいうようなことを、よく言ったりします。私は、やっぱり自分はこういうことをやりたいからこの会社が合うという、そういう人たちを求めています。


 どこの会社もそうだと思うんです。皆さんを食べさせるために会社があるんじゃなくて、会社にあなたたちが貢献できるようになったら、その会社から高い給料が出るというのが世の中です。そういうような所は、皆で今から時間あるんでしょうから考えて、高校生活を送ってもらえたらと思います。


 私、年齢49歳になるんですが、実は私も高校生だったんです。すごく当たり前の話なんですが、こういう所に立つと改めて、ああ昔は高校生だったんだなということを、本当に思い出します。高校生だった頃に自分が考えたこと、そういうことと同じようなことを、また目の前の皆さんが考えているんじゃないかなと、すごく親しみを感じます。皆さんは、ただのオッサンにしか見えないでしょうけど、私にとっては、かつての自分が沢山いるというような感じがします。今日は是非、少し先輩というぐらいのつもりで、いろんなことを話せたらな、と思っています。


 私は普通高校だったので工業高校というのはあまり知らないんですが、普通高校でもすごく物作りが好きだったんです。だから高校では物理クラブというクラブに入って、いろんなものを作って遊んでいました。だから工業高校のこういう機械とかいろいろある所の学校というのは、すごく面白そうだなというのが羨ましいですね。是非、皆さんそんな自分の環境に恵まれている所がある訳ですから、活かして高校生活を送ると、普通高校とは違った力、そして魅力がある高校生になるのではないかなと思います。


 初めに会社のこととか私のことを少し紹介しておきますが、私は熊本市で生まれまして暫く、さっき紹介いただきましたけれども、サラリーマン生活をしまして、まったく本当に知らない町、松橋町で13年前に株式会社プレシードという会社をつくりました。熊本ですから、半導体の工場とかが多いんですが、そういう所の工場のオートメーションとかロボットとかいうような部類の機械を考えながら、苦労して、失敗しながら作っています。


 だから、会社に来ると一生懸命働いてないような会社に見えるかもしれませんけれども、夕方5時になったら帰れるような会社でもありません。考えながら、失敗しながら、機械をつくっていくという、人によってはクラブ活動みたいな会社だと言われてます。世の中には、いろんな会社があるんで、私の会社のことを話しても、私の会社が平均的とは思いませんので、あんまり会社のことは話しませんが、私の仕事は、よその工場の中に入ることがすごく多いんです。いろんなお客さんの所に行きます。


 最近特にここ2~3年、いろんな世の中の動きが変わってきた。日本のことが、世界のことが、そこにすごく反映され始めてきました。そういうことを皆さんに伝えられると、そして、そこから何か1つ、今日1時間近くやるかもしれませんけれども、終わってから何か1つでも何か皆さんの心の中に残せると、来た甲斐があったなと思います。


 私は、海外も国内もすごく、年間そうですね海外に十何回ぐらい出ますし、国内も東京でしたら月1回か2回行ってます。非常にあっちこっち動いてます。昔は、ほとんど九州なら九州で仕事をしてるということが多かったんでしょうが、今は本当に私の小さな会社でも、全国に世界に動いて行かなければなかなか自分のやりたいことができないし、競争に負けるような時代になってきた。それが、すごく最近の変化ではないかなと思います。そういうことを喋ります。


 私、1999年にアメリカに会社をつくりました。アメリカ人の友達も沢山できました。それらと比べると、今、日本が何でこんなに弱いのか、何で世界で負けはじめたのかというのを、すごく感じることがあります。それが、熊本とか、八代もそうだけれども、とにかく耳を傾けておかないと、そういうことに気づかずに過ごしていって、ある日突然、そういう世界に投げ込まれて、負けてしまう。そういう風なのが、今の時代です。


 所で、皆さん、日本がどんどん落ちぶれていってるようなこと、感じますか? あまり感じないでしょうね、多分、八代にいると。所が、世界に、外国に行くと、本当に日本が負けはじめているのを、すごく感じます。将来このままでは日本が、今は本当に豊かな先進国なんですけれども、古びた、本当に見すぼらしい国になっていくんじゃないかということを感じています。そんなこと、今から本題に入りたいと思います。


 日本はかつて、みんな話には聞いた世代なんでしょうが、高度成長時代というのがあった。毎年毎年、国が、会社も、どんどん、どんどん豊かになっていく、そういう時代を過ごしました。各家庭では、どんどん、どんどんいろんなものが新しいものか入ってきて、みんなが新しいものを手に入れて、生活か豊かになるという時代を過ごしました。私の子どもの頃とか、若い頃は、本当にそうだったのです。欲しいものをどんどん手に入れていく生活というのは、すごく幸せだったのです。


 私の4~5歳の時、家の中には電器製品というのは電灯しかなかったです。貧乏だったんだろうと言われるかもしれませんけれども、確かに貧乏だったのかもしれない。けれども、どこの家に行っても、ほとんど電灯しかなかった。ラジオはありました。電灯とラジオしかなかった。だから、コンセントなんか、ほとんど家になかったですね。


 そういう時代からスタートして、どんどん、どんどん家の中に沢山のものが溢れてきました。アメリカとはうんと差があったんだけれども、アメリカとどんどん、どんどん生活が同じようになってきた。アメリカを追い越した、と言われ始めた。そしたら、いろんな問題が出始めて日本がまたまた落ちはじめていったというのが、今の時代じゃないかな。


 そして、私の小さい子どもの頃の日本みたいな状態が、今少し出遅れた他のアジア諸国なんじゃないかなと思うのです。中国にもよく行くのですが、中国の人たちは本当に私の子どもの頃を思い出させてくれるのです。一生懸命働いて、いろんな物を手に入れていこうという、目が輝いているのです。


 所が、やっぱり日本人を見ると、贅沢さには溢れているけど、幸せそうな顔はあんまりしてないです。この差が、今、中国からどんどん追いつかれてきて、日本人が苦しみ始めていること、アジアの国で日本にかつて「ルック・イースト」という言葉、知ってるかれしれませんけれども、イーストというのは日本、日本に学ぼうというようなことで、アジアの諸国が一生懸命日本の方を追いかけて、日本のやることを沢山勉強しに来ました。そして真似して、どんどん、どんどん近づいてきた。


 最近よく言われるのが、「日本の失敗を真似しないよう」にしようというようなのがアジアで言われ始めた。日本は失敗を世界に見られ始めている。そこから日本は豊かさは手に入れたんだけれど、この後どうしていくかを見失ってしまっているんです。これは、本当は何故でしょうね。


 日本人は、力を今持っているのは自分の力だと勘違いしている。皆さんは、すごく今豊かな生活をしているでしょう。携帯電話を持っている人も沢山いるのではないかと思うんです。いい自転車にも乗っているでしょうし、家に帰ればオーディオのセットとかがあったりするのではないかと思います。それは、だけど、皆さんの力で手に入れたのではないのです。親の力で手に入れたのでしょう。


 我々の世代の親も今、日本の豊かさは自分の力で手に入れたのではないのです。私たちの親の時代が作っていったものなのです。その財産を使って豊かな生活をしているだけで、自分で稼いで豊かにした人たちは、もう年取ってしまったんです。今から、もう一回日本人はそういう自分たちでの力で稼いでいくということを考え直さないといけない。親とかそういうふうな先祖の人たちが作った財産を食いつぶしていることに気づいて、やり直さなくちゃならいのではないかなと感じます。


 「豊かでありたい」というのは、誰でも世界中同じなのですが、「豊かであり続けること」ができるかということを、ただ「豊かでありたい」というだけでは続けられないのです。あと10年後にも、もっといい車に乗って、いい服を着て生活していたいと思うでしょう? 世界中どこに行っても、円で何でも買えるような、強い円で何でも買いたいと思うでしょう。だけど、このままでは絶対無理なのです。少なくとも、今のままでは日本は貧しくなっていくんです。皆さんが今できることが、10年後には世界でできなくなっていく。他の国に追い越されてしまう。

 

 今、中国の人たちは本当によく働いています。よく働いているけれども、我々よりはるかに給料は安いです。その状態を長く続けることって無理と思いませんか?中国人というのは、よく働く。だけど給料は安い。それはおかしい。よく働いて、よく仕事をする人は、給料は高くて当たり前だと、そういう方向に今流れているのです。それは何ででしょう?


 それは、世界が1つになってしまったのです。正確にいえば急速になりつつある、このことは本当に変化なのです。昔、世界はすごく広かったのです。私にとって、子どもの頃アメリカというのは遠い遠い、本当に遠い憧れの国でした。自分がアメリカに会社を作ったり、何十回もアメリカと行き来するような事になるなんて、思いませんでした。ヨーロッパやアジアも写真を見るだけだったのです。とても行くような所ではなかったのです。


 その後、暫くするとテレビで見るようになりました、テレビ放送が始まって。今はテレビで世界各地から生中継でしょっちゅうやってます。これは当たり前の事です、今は。だけど、昔は全然そうじゃなかったんです。遠い国だったんです。だから、日本は日本で終わっていたんです、世界というのが。


 所が、今は世界が本当に1つになった。この感覚を是非感じてもらって、我々の小さい頃は、日本というのが自分たちの活動の範囲すべてだったんです。所が、今は私みたいな小さな会社でも世界中に動き回っているし、皆さんでも家に帰ってインターネットで世界中の人と情報交換したり、買物したりすることができる。

 

 これは、本当に大きな変化なのです。そういう変化が今いろんな所に、もともと国という小さい世界だけでやっておけば良かった事が、その中だけではやり続けることができなくなったんです。


 この前、ちょっと余談ですけれども、2ヵ月ぐらい前、アメリカのテキサス州ダラスという所に行ってきたのです。そこは、まさに象徴的な場所でして、1962年にケネディ大統領が暗殺された場所です。ケネディ大統領って知っていますか? その日はテレビがアメリカから始めて中継された日なのです。私、子どもの頃に本当に、アメリカから生中継があるということで待ちに待っていて、その時の最初のニュースがケネディ大統領が殺されたというニュースだったのです。まさに世界が遠いということと、そういう風に国際中継というのが初めて始まった、その日から、どんどん、どんどん時代が変わっていった。


 そこに、この前行ってきまして、本当に何か時代が変わったというのを痛感しました。アメリカというのは、今でもそうなのだけれども、昔は遠い外国というか、関係ない所だったんです。今は、世界中が日本に関係している。それの一番の原因が、通信とくにインターネットなんです。インターネットとの出会いは、まだ私にとっては10年にもなってない。おそらく世界に普及し始めたのは、そのくらい前からじゃないかな。


 皆さん、インターネットをやったことがない人、いますか? いませんかね。10年前、あれは絶対考えられなかったことなんです。高校生が外国で物を探したりとか。それができるようになった。私の子どもの頃は、福岡県に電話するのに、待っとかんと繋がらなかったのです。所が今は、家から世界中を画像まで見られる、そういう時代になってきた。これが、あなた方の生活とか就職とか、すべていろんなことに影響し始めている。


 情報が世界中から取れるようになった。そして飛行機が飛び交って、船は行き交って、トラックは走り回るようなのがどんどん進んできたから、世界中から物を探して、世界中に物を送ったり、送って貰ったりする事ができるようになったんです。


 そうすると、日本は、中国より給料が20倍高いと言われております。同じ物を中国と日本が作ったら、値段が明らかに違う。どっちを買うか? 同じ物としたら、誰でも安い方を買うんです。昔は、確かに質が悪かったとかということで言われたのだけれども、どんどん、どんどん同じような物が中国で作られるようになってきた。だから、みんなが安い物を、世界中から探して買うようになったんです。


 それで世界中に品物が流れる。大昔は、八代で買う物は八代で作られた物がほとんどだった。少し前までは、八代で使う物は日本国内で作られるのがほとんどだったんです。所が、今、八代の店で売ってある物は、世界中から物が流れてきてるでしょう。そうすると、安い物というのが世界で一番安い物が来るわけです。八代で一番安い物ではなくて、世界で一番安い物。そういう中で今、競争が始まっている。買う人にとっては素晴らしいことです。


 だから、世界中の会社が世界で一番安く作れる所を探して、一番高く買ってくれる所を探して売っているような時代か始まった。そうなると、ライバルは誰か?昔はライバルは隣の人だったんです。隣の会社だった。熊本県の会社だったんです、会社にとっては。所が、今ライバルは世界にいるのです。皆さんのライバルも、今は全然感じらんだろうけれども、世界にいるんです。ここの中ではないんです。今、今日は、ここの中がライバルかもしれない。競争相手かもしれない。けれど、皆さんの競争相手は世界にいる。


 勿論、仲間も、世界にいるのです。今は世界中に、ライバルと仲間がいる時代です。世界中から物を探して、一番安い物が買えるようになった時に、日本で一番安い物を提供できるかと言うと、それがすごく今難しくなったのです。日本人は給料がすごく高いというのは聞いたことあるだろうけど、隣の人より高いかどうかではないですよ。世界の中では、日本の給料は凄く高いんです。そうすると、どうしたって作った物が日本で作ると高くなってしまうんで、日本人が、もしそれでも給料が高くっても、同じ物しか作れなければ、安い方が買われるから、日本製は売れない。


 日本で作られるのは30年前、これは世界中で一番競争力があったのです。安くて良い物がメイド・イン・ジャパンだったのです。あの「プロジェクトX」とか観た人いるかもしれませんけど、ソニーがアメリカに出ていった時の話とかというのは、安くて、良い物だった。それが、メイド・イン・ジャパンだったんです。我々の先輩たちは、メイド・イン・ジャパンは安くて良い物というのを、世界中に宣伝して、実績を作ってくれた。


 次に暫くすると、15年ぐらい前からかな、高くてもいいものが、メイド・イン・ジャパンなのです。同じじゃなくて、やはり日本製は良いと、高いんだけれども、それ以上に良いと、だから、メイド・イン・ジャパンがまだ売れていた。今は、台湾製・韓国製・中国製とあんまり変わらない。値段だけはうんと高いのが、メイド・イン・ジャパンになりつつある。そうすると、さすがに売れなくなってくる。


 要は、メイド・イン・ジャパンというのは、ただの高いだけのものになってきている。日本で作ったら、ただ高いだけのものになってき始めたのが、冷蔵庫だとか、洗濯機とか、ラジカセとか、どんどん、どんどん、だから、もう日本では作らなくなってきた。高いだけのものって、誰も買いません。


 だから、それを作るメーカーは必死になって、どこで作ろうかと探すんです。昔は、東京より安かったから九州だったんだけれど、今九州より安い所が中国で作れる、韓国で作れるということで、どんどん出て行ってしまっている。今、九州ではなくて、海外へ行ったから、九州の工場がガラ空きになり始めてる。


 わかります? 日本で作ったら、高いだけの物しか作れない。同じような物を作るんだったら、そういう掃除機とか冷蔵庫とか洗濯機とかラジカセとか、そういうような物だったら、日本では高いものだけ。その後、ハイテク商品は良かった、と思ってたのです、暫くは。所が、ついに最近、半導体もそうなってしまって、日本で作ったら高いだけ、半導体は韓国とか台湾で作られ始めた。


 熊本に、ここ20~30年前から、どんどん工場ができたんです。オートバイの工場とか、ICの工場とか沢山できましたけれど、それは熊本に皆さんみたいにすごく優秀な人が沢山いたからじゃない。安い土地と労働賃金が安い人がいたからなのです。そうだとすると、もっと安い所が海外にできたのだから、そっちへ行ってしまう。そうやって、今どんどん、どんどん。


 実は私の作った機械が、九州内のある工場に入ったのです。大きな会社ですけど、言えば知ってる会社なんだけれど、それが3年前に電話がありまして、実はこの機械、中国に持っていくから、今度、機械のこの図面をくれないかとか、ここの所は中国へ出しても大丈夫というような証明書を書いてくれないかと言いました。ああ、そうかということで、それは出しました。それが、私の身近な出来事の始まりでした。

 それからは、あれよあれよと言う間に、工場の中身がどんどん、どんどん向こうへ行ったりとか、新しい機械まで遂に中国へ出ていくようなになってきた。普段の景色と今の景色は変わらないんだけれど、その景色じゃないその裏の世界では、そういう風なすごい今、経済の変化が起きているんです。


 かつては中国で物を作ろうとしたら、まず政治が、どんな政治か全然分からないと、税金がどうなっているか分からない、水道もない、水道も時々腐った水が出てくるとか、電気も時々停まる、トラック便がないから送るのが大変だ、だから中国で作らなかったんです。中国の人が能力がないとか、全然そんなんじゃなかったんです。


 中国の人たちはずーっと、そういう生活やってきてなかったから、どうやって物を作ったらいいかということをあまり知らなかったんです。今、工場を作るような環境ができたんです。きれいな工場と電力と、そして外国の会社に「いらっしゃい、こんなきれいな場所で作れますよ」と中国が言い始めたのです。


 そうしたら、日本の企業は、どんどん、どんどんそこで作るようになった。すると、中国の人たちはどんどん、どんどん技術を上げてきた。すごく勉強します。日本人の皆さんより、多分勉強するでしょうね。それで、どんどん、どんどん、向こうの人が良い物を作れるようになってきた。良い物を、安くです。

 

 もう一回、ここの復習です。変化、大きな流れです。通信、世界中といろんな所と話ができるようになった、情報を交換することができるようになった。送ろうと思ったら、世界中どこへでも送ったりすることができるようになった。その変化、そして世界中の国が、工場を作るんだったら、ちゃんと電気も水も道路もありますよという。税金も大丈夫です、いらっしゃいと言うようになったのが、日本の外の変化なんです。

 

 日本は、何も変わってなかった。だから、日本が変わって悪くなったんじゃないんです。世界中が、外が変わってしまったんです。外に行った方が良いようになってしまった。だから、どんどん、どんどん世界が1つになったら、日本は物作りが空っぽになって、海外へ行き始めている。


 では、これから日本では何をやったがいいのでしょう? 工業高校の諸君、何をやる?日本人の強い所って、どこですか? 頭がいい? 学力が高いかな? 真面目? よく、そういうことを言う人がいる、日本人は勤勉だ、と。だけど、それは勝手に日本人が言っているだけで、よく見てもないのに言うな、と思うんです。


 確かに昔はそうだったかもしれません。けど、今世界中で、そういう勤勉な人は沢山います。昔、アメリカは働かないと言っていましたけれども、アメリカに行ってみると、アメリカ人の方が日本人より働いてます。だから、日本って何が特徴で、何を売っていくのか、本当にこれ深刻に考えなくちゃ、皆さん今から30年間か40年間働くわけです。最後はひどいことになる、このまま隣の人と同じことをやっていたらね。


 私は、会社でよく言うのです、うちの社員たちに。中国の人たちより給料20倍貰っていい理由を各自探そう、と。みんな違うかもしれない。その理由を探さなければ、20倍貰うのはおかしいじゃないか。どうやって自分が今の中国の人より20倍の給料を稼ぐか。言わば20倍以上の価値を、だから作れるということでしょう? それか探さなければ、20倍以上の給料を貰ったんだから、20倍以上物が高くなりました、買ってくださいと言っても、誰も買わない、それは厚かましい。


 自分だから、日本だから、高い物ではなく、要するに人ができないような事がやれるから、だから20倍貰う。そういうのを自分たちが本当に見つけていかなくちゃ、落ちて行きます。落ちていく世の中にいるのは、すごく不幸なことです。今はあまり急上昇はできないかもしれないけれど、落ちていかない社会に生きていきたい。そのために、本当に、皆さん、真剣に自分が何をしたら今の中国の人たちより稼げるのか、世の中から、世界中の中で、こっちがいいと思わせることができるか考えてみましょう。もう20倍は無理だと思うけれど、10倍でもいい、5倍でもいい、3倍でもいいや、すごく勉強する、一生懸命働いている中国の人たちと比べて、頭も良い中国人の人たちと比べて、何を自分たちが特徴として出していくか、それを見つけられなければ、どんどん、どんどん日本は豊かさを失っていく。


 日本の会社でさえ、世界の会社との競争だから電気製品のメーカーの本社は確かに日本にまだあるのだけれど、部品を作るのは、もう日本の会社に発注しなくなったんです。車もそうです。松下だ、東芝だ、日立だと、すごく家電を沢山作ってきましたけれど、あの部品は今世界から買っています。日本の中で買おうとしてない。


 それで遂には、最後の組み立てまでも海外で作り始めています。日本ではもう組み立てもしない。組み立てて終わったやつを日本に送る。安く世の中に売らなければ、売れない。安く作るためには、安く部品を調達しなくちゃならない。そのためには、日本でしてたら、もうビジネスにならないというようなのが、今の流れ。


 だから、熊本にある多くの会社というのは、そういう中で物を作っていたりしているのが多いです。IC工場もそうです。そうすると、ICも海外で作ったほうが良いということに、今なってきている。オートバイも海外で作ったが良いという事になってきている。だから、工場で働く人が、今までは10万人いたのが5万人でいい、3万人でいいという風になってきているのです。


 じゃ他の国で作れないものを作ればいい、簡単な話です。他の国、まだ中国では作れないもの、韓国でも台湾でも作れないもの、アメリカでも作れないもの、あるかもしれない。いや、実際あるんです、いくつか。我々は、だから仕事はそういう世界を本当に追いかけようとしているんです。どこでも作れるようなものを作ったら、多分食っていけない。


 昔はよく、これは中国ではできないと沢山言っていたのですよ、この2~3年前まで。けれども、今やどんどん、どんどんそれができて「あれっ、これも作れるようになった」「あっ、これも作れるようになった」と、どんどん、どんどんそれが減ってきている。それでも、まだあるはずです。まだ中国で作れない、日本人が先端を走っている部分、日本の国が先端を走っている部分、そういう所はまだやれる。


 メイド・イン・チャイナが隣に並んだら、値段が多分安いと思ったらいい。ただ、メイド・イン・チャイナが隣に並べられないようなものを日本人が作れるか、そこが物作り、工業高校を出る皆さんとか我々の今後の将来への課題です。勿論、中国だけじゃないです。いろんな国が、今からそうやって始めている。


 しかし、この答えは、みんなが考えて続けなくてはいけない。自分たちが、まだ勝てる、今後もここでは勝負したら絶対自分たちが先を行けると、そういうことは本当に考え続ける必要があります。その中で、熊本のことを考えると、熊本はかつてシリコンアイランド、九州の中の中心、そして半導体の工場とか、そういうオートバイ、ハイテク産業の工場が沢山あって、全国でも本当にトップクラスの工場が集まっています。今でも、勿論まだどんどん物を作っています。


 数年前までは、これがずーっと続くと思っていた。どんどん、どんどん半導体の生産が日本の熊本で増えていって、世界にどんどんここから出ていく、と思っていたのです。多くの熊本の人たちも、そう思っていました。ところが、ほんのこの2~3年ぐらい前かもしれません、大きく変化して、日本からどんどん、どんどん、熊本からどんどん、どんどん、作る場所が世界に動き始めた。だから、工場で働く人がどんどん減っていく。


 今まで生産、もの作りというのは、去年よりもどんどん、どんどん増えていく、そして豊かになっていくというのが、日本の成長だったのですが、どんどん、どんどん減っていっているんです、作っている物が。一度海外へ出ていった物は、日本に戻ってこない。我々が、いかに出ていかないように、ここでやれるかというようなのが、もう問われていることなのですが、一度海外へ出て行ったら二度と帰って来ない。
 そういう中に、今から世の中に出ていく皆様に考えておいてもらいたいこと。今まで話しましたように、どんどん、どんどん世の中が変わっていってる。これはある意味では、今まですごくマイナスのことばかり話したけれども、素晴らしいことなのです。世界中で皆さんは活躍できるチャンスがある。いろんなものを、世界の人と友達ができる。いろんなことができるチャンスでもあるのです。


 私の小さい頃でしたら、どんなに熊本で頑張ったって、世界の人と巡り合うことは、あの時代にはなかった。今の時代だからできる。そういう意味では、非常にチャンスがある。是非このチャンスを活かして、そういう行き方に今から挑戦して、今まで話したのは、すごく危機の話。でも、危機と一緒にチャンスがあるんです。変化だから。大きな変化というのは、ある意味では、すごく自分にとって被害を被ることもあるけれども、上手く活かせばそれはすごくチャンスになる。


 このチャンスという捉え方をするのだったら、是非この大きな変化を生かしてもらいたい。このすごく変化している中なんだけれど、もし皆さんがいくつかの事をやれると、すごく世の中に出てから、活躍する世界が広がる。だから、それを勧めることが3つある。


 1つはITを使いこなす技術、インターネットとパソコンです。インターネットもそうなんだけども、パソコンを使いこなす。パソコンを触らないような職場というのは、もうなくなりつつある。少なくともパソコンを皆さんが触らないということは、自分にすごく弱点になるんで、今から高校を出るまでには時間があるでしょうから、是非パソコンは、会社に入った時に「ああ、それできます」「これ、できます」とか、「じゃ、ちょっとインターネットでこれ探してみます」とか、そういうようなことを言えるような皆さんであって欲しい。


 これは、すごく会社にとっては有り難い存在。さっきの話、20倍要るとは言わないけど、中国の人より2~3倍貰っていい、日本ではそういう高い給料を少し出せるかもしれません。要は、誰でもパソコンに慣れてることですね。だから今から高校を出るまでに、是非ワープロとか表計算とかインターネットでものを探したりするとか、是非そのへんの所は、当たり前のこととして身に着けておいていただきたい。

 

 それと2つ目は英会話。聞くと苦手と言う人は多いでしょう。英会話、得意な人いますか? 一人いるのかな。英会話というのは、なかなか苦手で、普段話す機会ないと思うんですが、是非その英会話の能力というのは自分で作っておいてください。これはインターネットでも、英語が読めるとすごく世界が広がるし、あなた方の一生の中で外国の人と交渉することなんて、本当に当たり前になってくると思います。世界中で共通語というのが英語ですから、是非英語をやってください。


 それと3つ目、これが一番重要なんのだけど、簡単だけど難しいことです。誰にでもできること、当たり前みたいなことを、当たり前にやれるようになっておいて欲しい。人はそれぞれ弱点があるから、どうしてもできないものは、それは弱点でいいのです。ただ、人ができて、自分でもできそうな当たり前のことを、放ったらかしにしないこと。
 どんなことを言っているかと言うと、挨拶とか、礼儀とか、掃除とか、服装とか、整理整頓とか、何でそれくらいと言うけど、これはすごく大事なことなのです。これを会社に入
って、会社が1からこれを教えないといけない人間か、挨拶もいい、服装もちゃんとしている、遅刻もしないで来ると差がある。信頼感が違う。
 信頼感が高い人には、いろんな事を会社としてはさせていこう、高い給料も払っていこう、いろんなチャンスを与えよう。所が、この当たり前の事がいくつもできない人間は、何か1つできたって、信用できない。「あいつじゃ、ちょっと頼まれんな」ということになってしまう。
 すごく大事なこと、当たり前のことを、当たり前としてやること。遅刻して行くのは、就職してから遅刻せずに行こうなんて思ったって、それはきついよ。今までが遅刻していた人は、それを直すのは苦痛です。だから、今是非、遅刻もせずに行くような習慣を身に着けておいてください。それは絶対あなた方の宝になります。


 当たり前のことをやるのは、すごく難しいことです。私の会社では、ラジオ体操を新入社員に私が指導するんです。ラジオ体操なんか、できるでしょう? 誰でも。でも、本当は、これはできると思ってるだけ。本当のラジオ体操をできる人なんて、ほとんどいないんです。だから、私は、新入社員にラジオ体操のビデオを見せて、やってみせて、させて、こうだとかいうふうに指導する。


 ラジオ体操が上手いからといって、給料は高くはなりませんよ、勿論。仕事も直ぐ良くなる訳ではない。ところがラジオ体操という誰でもできそうなことも、やってみると、すごく難しいんだと、そういうようなことを一回思ってもらうと、いろんなこと当たり前のこと、挨拶の仕方も、ただこうやって頭を下げたり、「オヤッス」と言ってたのが変わってきたりとか、そういうようなことが起きはじめる。

 


 だから、当たり前のことをもう一回考えてみてください。整理整頓をするとか、ちゃんとノートをきれいに書いたりとか、服装を整えたりとか。ラジオ体操をもし学校でやっているんだったら、完璧なラジオ体操に挑戦してみてください。そういう当たり前のことが会社でできる人は、魅力なのです。


 もう時間がなくなったので、最後に、日本人は今まで同じことを一生懸命やって良くすることは、すごく得意だったのです。これからの時代というのは、日本人が一生懸命やってくるだけでは駄目なので、一生懸命であってもしようがないと言うんじゃない。一生懸命の上に、もう1つ何か乗せなくちゃならない。一生懸命だけじゃ、やっぱり今の豊かさを守れないのです。一生懸命の上に何を乗っけるか? これを、さっき言ったように考えてもらいたい。


 要は、昨日と同じことをやっていたり、隣の人と同じことだからいいとか、そういう考え方は、もう捨てることです。昨日と同じじゃ駄目だ、昨日より今日、どうしたらよく変わるか。隣の人より、自分は何がもっと強くなったのかと、そういうことを考えていけるような人であって欲しい。
 日本人は、隣の人と同じにしていれば良い、昨日と同じことやっていれば良いということに、すごくなりやすい、世界の人と比べると。ここは注意してもらいたい。新しいことを始めること、やったことがないことを始めること、すごくこれはきついことです。プレッシャーになる。けれども、そこに挑戦していかなければ、日本人というのは時代が開けていかないんじゃないかなと思う。昨日ノーベル化学賞取った人もやっぱり、自分の専門が違ったから。「人と変わったことをやったから良かったのでしょうね」、というようなことも言ってました。


 同じことじゃ、駄目なんです。自分らしさとか、そういう特徴、今日と違ったこと、やっことがないことに挑戦する、その勇気を持ってもらいたい。手抜きじゃないですよ。こっちが嫌だから、こっちへ逃げるというのは、新しいことじゃない。難しいことに挑戦していく。難しいことを、新しいことを、どんどん自分でやっていく、そういう勇気を持っていかないと、日本人は、ただ一生懸命だけでは本当に食っていけない時代になってきます。一生懸命であるなとは、絶対言わない。一生懸命は当たり前なんです。一生懸命の上にもう1つ何か乗っける、そのことを考えて生きていっていただきたい。


 今からは、すごく厳しい時代です。時代が悪いとか、就職がなかったとか、世間のせいじゃなくて、本当は自分が挑戦しようという意欲がない、何もしなかったからなんです。これはチャンスです。すごく厳しい時代なんだけれども、言ったように、私に言わせると当たり前のことをやること、パソコンに強くなること、英語が強くなること、そのくらいをやれるような人が、うちの会社に来たら、多分採用するでしょうね。どこの会社に行ったって、そういう人は求められていると思う。


 パソコンも出来ない、挨拶も出来ない、服装は乱れてる、整理整頓なんかとても当てになる人ではない、英語は何も知らない、でも私は給料が欲しいから働かせてください、この会社が好きです、そういうのは採らないですよ、どこも。私に言わせると、その3つは、どこの会社に行ったって役に立つことだと思います。


 この大転換のチャンスの時代に皆さん生きてるだから、是非そういうようなのは道具として身に着けて、さらにもう1つ新しいものを自分が乗っけて、どんどん、どんどん人生を開いていってください。そういう意味では、今の時代には、いい時代に生まれました、皆さんは。これ50年前に生まれたんだったら、そんなことできなかった。50年前、八代で生まれて、それへ挑戦するんだったら、本当に大変なことだと思うんです。だけれども、今は少しの努力、少しの壁に挑戦する、新しいことに挑戦する意欲があると、できると思います。


 是非、皆さん、それに挑戦してもらいたい。成功するためは、知恵と勇気が必要です。勿論努力もね。それをせずしていい結果を出そうなんて思うのは、すごく甘い話ですが、それをやれば、どんどん、どんどん広くなっていくチャンスがある時代です。


 かつては高校生だった先輩から、皆さんの中にもし私がいたら、こういうことを伝えたいなということを話してみました。何か1つでも残ったら、すごく有り難いのですけれども、是非皆さん、世界に受身じゃなくて、そういう風に今から攻めの気持ちで出ていってください。我々社会人は、それを待ってます。

 

以上です。

 

ありがとうございました。

 

 

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